2021年11月28日深谷教会待降節第1主日礼拝
蝋燭点火
聖書:ルカによる福音書1:5~25、57~80
説教:「ザカリヤの賛歌」
保母光彦牧師
讃美歌:21‐484、482
(Youtube配信はありません)
★暗誦聖句
・11月29日(月):ルカによる福音書1章68,69節●
「主なるイスラエルの神は、ほむべきかな。神はその民を顧みてこれをあがない、わたしたちのために救いの角を僕ダビデの家にお立てになった。
・11月30日(火):ルカによる福音書1章7節●
ところが、エリサベツは不妊の女であったため、彼らにはこがなく、そしてふたりともすでに年老いていた。
・12月01日(水):ルカによる福音書1章18節●
するとザカリヤは御使に言った、「どうしてそんな事が、わたしにわかるでしょうか。わたしは老人ですし、妻も年をとっています」。
・12月02日(木):ルカによる福音書1章62節●
そして父親に、どんな名にしたいのですかと、合図で尋ねた。
・12月03日(金):創世記18章14節●
主にとって不可能なことがありましょうか。来年の春、定めの時に、わたしはあなたの所に帰ってきます。そのときサラには男の子が生れているでしょう。
・12月04日(土):ルカによる福音書1章37節●
神には、なんでもできないことはありません。
★説教要約
*目標:静まって聖書の約束に思い巡らし、神を讃美する。
*主題:救いを備え、実現してくださる神。
*暗誦聖句:「ほむべきかな、イスラエルの神、主。主はその御民を顧みて、贖(あがない)をなし、救いの角を私たちのために、しもべダビデの家に立てられた」 (ルカ1:68~69●)
アドベント(待降節)を迎えました。クリスマスを待ち望む思いも高まります。ルカはイエス誕生に先立ち、イエスの宣教の「道備え」をしたバプテスマのヨハネの誕生にまつわるエピソードをまず丁寧に記録しました。ヨハネの父親である司祭のザカリヤの姿を通して教えられていきましょう。
1.誇りと恥との交錯
ザカリヤの人生は誇りと恥とが同居するものでした。彼は祭司たちが神殿で奉仕をするために分けられた24の組の一つである「アビヤの組」(800人の祭司が所属)に属していました。妻エリサベツは「アロンの子孫」であり、系図を重視するイスラエルにおいて、モーセの兄である最初の大祭司アロンの子孫であるということは大きな誇りであったはずです。この夫婦の主に対する信仰は、「二人とも神の前に正しい人で、主のすべての命令と掟を落ち度なく行っていた」(6節)という説明に表れています。祭司としての働き、由緒正しい家系、敬虔な信仰者としての生き方・・・、周囲からも一目おかれていたはずの二人でした。
ところが、続く説明からは、彼らが忍んできた恥や悲しみを容易に想像することができます。エリサベツは不妊であり、彼らには子がいないまますでに老齢を迎えていたのです(7節●)。
子がいない寂しさを抱えて生きてきたというだけではありません。後継ぎとなる子が与えられないのは、何らかの罪を犯した結果ではないかと後ろ指を指される社会の中で二人は生きてきたのです。しかし神はそのような夫婦を顧みられました。
2.信仰と不信仰/常識と非常識
神殿で香をたくザカリヤを訪れた御使いガブリエルによって、ヨハネ誕生についての知らせが告げられました。しかもその子は主のために特別な働きを担うというのです。しかし敬虔な信仰の働きを担うというのです。敬虔な信仰の歩みを続けてきたザカリヤであってもその知らせをすぐには信じることができませんでした(18節●)。
その結果、彼は口がきけなくなります(62節によれば、耳も聞こえなくなったようです)。かつて、息子の誕生の予告を信じることができずに思わず笑ってしまったアブラハムとサラの姿とも重なります(創世17,18節)。確かにそれは、常識的に考えるならば起こりえないはずのことでした。しかし神は時に人の常識を超えて計画を実現されるのです。
3.深いあわれみによって
口がきけないまま、ヨハネ誕生までの約十か月もの間にザカリヤが何を考え、どのように過ごしていたかということは記録されていませんが、それを知るためのヒントがあります。誕生した子をヨハネと名づけ、その口が開かれるや否や、ザカリヤは何よりも先に神をほめたたえました(64節)。沈黙を余儀なくされた期間、ザカリヤは、老夫婦である自分たちの恥を取り除いてくださった(24,25節)神のあわれみをかみしめると同時に、(旧約)聖書を頼りに、イスラエルに対する深淵なる神のご計画に思いを巡らし続けたはずです。「ザカリヤの賛歌」と呼ばれる彼のことば(68~79節)には、はるか昔に主がアブラハムとダビデと交わした契約、そして預言者たちを通して語られた罪の赦しをもたらす救い主に関する約束など、十数か所にも及ぶ旧約聖書からの引用が散りばめられています(新改訳聖書欄外注を参照)。神はご自分の約束を破ることが決してありません。
このヨハネの誕生、そして神が人となったイエス・キリストの誕生も、どちらも人の常識には収まらない出来事です。だからこそ、御使いガブリエルが語った「主(神)にとって不可能なことがあるだろうか/何もありません」(創世18:14●、ルカ1:37●)ということばを心から信じるかどうか、このアドベントとクリスマスの期間を通して、私たちは問われ続けるのです。
何かと慌ただしい季節かもしれませんが、ザカリヤのようい静まり、聖書の約束を確認しながら、私たちの現実に決して無関心ではない神の深いあわれみに思いを巡らせましょう。このアドベント、クリスマスの期間に神に向かってささげる賛美が、あなたの心の奥底からあふれ出るものがありますように。
【聖書から】 ルカによる福音書1章(新共同訳)
献呈の言葉
11-2わたしたちの間で実現した事柄について、最初から目撃して御言葉のために働いた人々がわたしたちに伝えたとおりに、物語を書き連ねようと、多くの人々が既に手をつけています。3そこで、敬愛するテオフィロさま、わたしもすべての事を初めから詳しく調べて いますので、順序正しく書いてあなたに献呈するのが良いと思いました。4お受けになった教えが確実なものであることを、よく分かっていただきたいのであります。
洗礼者ヨハネの誕生、予告される
5ユダヤの王ヘロデの時代、アビヤ組の祭司ザカリアという人がいた。その妻はアロン家の一人で、名をエリサベトといった。6二人とも神の前に正しい人で、主の掟と定めを全て守り、非のうちどころがなかった。7しかし、エリザベトは不妊の女だったので、彼らには、子供がなく、二人とも既に年をとっていた。8さて、ザカリアは自分の組が当番で、神の御前で祭司の努めをしていたとき、9祭司職のしきたりによってくじを引いたところ、主の聖所に入って香をたくことになった。10香をたいている間、大勢の民衆が皆外で祈っていた。11すると、主の天使が現れ、香壇の右に立った。12ザカリアはそれを見て不安になり、恐怖の念に襲われた。13天使は言った。「恐れることはない。ザカリア、あなたの願いは聞き入れられた。あなたの妻エリザベトは男の子を産む。その子をヨハネと名付けなさい。14その子はあなたにとって喜びとなり、楽しみとなる。多くの人もその誕生を喜ぶ。15彼は主の御前に偉大な人になり、ぶどう酒や強い酒を飲まず、既に母の胎にいるときから聖霊に満たされていて、16イスラエルの多くの子らをその神である主のもとに立ち帰らせる。17彼はエリヤの霊と力にで主に先立って行き、父の心を子に向けさせ、逆らう者に正しい人の分別を持たせて、準備のできた民を主のために用意する。」18そこで、ザカリアは天使に言った。「何によってわたしはそれを知ることができるのでしょうか。わたしは老人ですし、妻も年をとっています。」19天使は答えた。「わたしはガブリエル、神の前に立つ者。あなたに話しかけて、この喜ばしい知らせを伝えるために遣わされたのである。20あなたは口が利けなくなり、この事の起こる日まで話すことができなくなる。時が来れば実現するわたしの言葉を信じなかったからである。」21民衆はザカリアを待っていた。そして、彼が聖所で手間取るのを、不思議に思っていた。22ザカリアはやっと出て来たけれども、話すことができなかった。そこで、人々は彼が聖所で幻を見たのだと悟った。ザカリアは身振りで示すだけで、口が利けないままだった。23やがて、務めの期間が終わって自分の家に帰った。24その後、妻エリザベトは身ごもって、五か月の間身を隠していた。そして、こう言った。25「主は今こそ、こうしてわたしに目を留め、人々の間から恥を取り去ってくださいました。」
イエスの誕生が予告される
26六か月目に、天使ガブリエルは、ナザレというガリラヤの町に神から遣わされた。27ダビデ家のヨセフという人のいいなずけであるおとめのところに遣わされたのである。そのおとめの名はマリアといった。28天使は、彼女のところに来て言った。「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる。」29マリアはこの言葉に戸惑い、いったいこの挨拶は何のことかと考え込んだ。30すると、天使は言った。「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。31あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。32その子は偉大な人になり、いと高き方の子と言われる。神である主は、彼に父ダビデの王座をくださる。33彼は永遠にヤコブの家を治め、その支配は終わることがない。」34マリアは天使に言った。「どうして、そのようなことがありえましょうか。わたしは男の人を知りませんのに。」35天使は答えた。「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。36あなたの親類のエリザベトも、年をとっているが、男の子を身ごもっている。不妊の女と言われていたのに、もう六か月になっている。37神にできないことは何一つない。」38マリアは言った。「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように。」そこで、天使は去って行った。
洗礼者ヨハネの誕生
1:57さて、月が満ちて、エリザベトは男の子を産んだ。58近所の人々や親類は、主がエリザベトを大いに慈しまれたと聞いて喜び合った。59八日目に、その子に割礼を施すために来た人々は、父の名を取ってザカリアと名付けようとした。60ところが、母は、「いいえ、名はヨハネとしなければなりません」と言った。61しかし人々は、「あなたの親類には、そういう名の付いた人はだれもいない」と言い、62父親に、「この子に何と名を付けたいか」と手振りで尋ねた。63父親は字を書く板を出させて、「この子に名はヨハネ」と書いたので、人々は皆驚いた。64すると、たちまちザカリアは口が開き、舌がほどけ、神を賛美し始めた。65近所の人々は皆恐れを感じた。そして、このことすべてが、ユダやの山里中で話題になった。66聞いた人々は皆これを心に留め、「いったい、この子はどんな人になるのであろうか」と言った。ここ子には主の力が及んでいたのである。
ザカリアの預言
67父ザカリアは聖霊に満たされ、こう預言した。68「ほめたたえよ、イスラエルの神である主を。主はその民を訪れて解放し、69我らのために救いの角を、僕ダビデの家から起こされた。70昔から聖なる預言者たちの口を通して語られたとおりに。71それは、我らの敵、すべて我らを憎む者の手から救い、72主は我らの先祖を憐れみ、その聖なる契約を覚えていてくださる。73これは我らの父アブラハムに立てられた誓い。こうして我らは、74敵の手から救われ、恐れなく主に仕える、75生涯、主の御前に清く正しく。76幼子よ、お前はいと高き方の預言者と呼ばれる。主に先立って行き、その道を整え、77主の民に罪の赦しによる救いを知らせるからである。78これは我らの神の憐みの心による。この憐みによって、高い所からあけぼのの光が我らを訪れ、79暗闇と死の陰に座している者たちを照らし、我らの歩みを平和の道に導く。」80幼子は身も心も健やかに育ち、イスラエルの人々の前に現れるまで荒れ野にいた。