「荒野の誘惑」 マタイによる福音書4:1~10

「小羊の会」2023年2月9日

 法亢聖親牧師からのメッセージ

   「荒野の誘惑」     (マタイ4:1~10)

 「イエスは、答えて言われた、『人はパンだけで生きるものではなく、神の口から出る一つ一つの言葉で生きるものである』と書いてある。」(マタイ4:4)

1 荒野で悪魔に試みられるイエスさま 
 イエスさまは、御霊により荒野へ導かれ、悪魔に誘惑されました(マタイ4:1)。悪魔とは、人を神さまから引き離そうとする霊的な存在です。断食とは霊的な事柄に集中するための行為で、40日は、神さまが定められた一定の期間です。(40とは、聖書では長い期間をさす数字です。たとえば、イスラエルの民のシナイ半島での40年間にわたる試練などがそうです。)イエスさまは、宣教の準備として神さまと共に十分な時間を過ごされました(マタイ4:2)。
 一人でいることは、世俗から離れる良い機会ですが、サタンに狙われやすい時でもあるのです。石をパンに変えてみよと誘惑する悪魔に、イエスさまは、「人はパンだけで生きるものではなく、神さまの口から出る一つ一つの言葉で生きるものである」と、申命記8章3節の言葉を引用して悪魔の誘惑を退けられました。人間が生きるための根本問題である、魂と心の飢え(渇き)は、キリストを通して神さまと交わることなしに解決することはできないのです。

2 聖書を引用する
 悪魔は、神さまがお守りくださるのだから高いところから飛び降りてみたらどうだとイエスさまに言います(マタイ4:6)。さらに高い山に連れて行き自分を拝むならば、この世の権力と富をすべて与えようと悪魔は誘惑しました(マタイ4:8,9)。それに対し、イエスさまは聖書を引用して、神さまを試みてはいけない(申命記6:16)、神さまだけを礼拝し、神さまに仕えなければならない(申命記6:13)と言われました。神さまを試みるとは、神さまの誠実さを試そうとすることです。それは、すでに与らえれている恵みでは満足していない証拠です。神さまにお仕えする時、悪魔は、力を失い、拒否すれば、悪魔は去って行きます。

3 第3の誘惑の時、静まって聖書を読み、祈る (マタイ4:8~10)
 クリスチャンの渉外弁護士の佐々木光男氏は、一つの企業間取引の案件を任された時非常な誘惑(試み)に会われました。(渉外弁護士:特に日本の企業と外国の企業との企業間の契約(企業法務や企業間金融法務)などの内容が適法かどうかを審査し保証することを専門とする弁護士。たとえば、企業間提携やM&Aの時など。)それは、日本の企業が外国の企業と提携を結ぶごく当たり前の案件をもって大手の会社の担当の部長さんがA銀行の担当課長と自分の会社の顧問弁護士、顧問公認会計士をつれてきました。それは3度目のことで「この契約書は、何ら問題はない」という佐々木氏の保証のサインをもらうためでした。佐々木氏のサインがあれば日本と外国の両企業は、この契約書にのっとり提携の契約を結ぶ運びとなっているからです。ところが、一つ一つの取引は合法といえても、全体的に脱法的に思えるのでした。彼らは、2度修正して佐々木氏の所にやって来たのです。とにかく佐々木氏がサインをすれば、彼らも喜ぶし、自分にも高額な報酬が転がり込むのです。佐々木氏は、迷い悩みました。しかし、彼は、静まって聖書を読み祈りました。祈っていると、どうしても「違法は違法だ」としか思えなくなりました。そして佐々木氏は決断をして3度目のサインを断ったのです。その後、相談に来た企業は、別件の違法行為で摘発され、担当の部長は首になり、銀行は法律違反で当局から一部業務閉鎖を命じられ、顧問弁護士は不祥事を起こしたことで失脚、顧問会計士の事務所は、解散に追い込まれました。この時の経験から佐々木氏はお金の魔力の恐ろしさと、神さまのみ力の素晴らしさの両方を体験したのでした。この世の権力と富に頼らず、みこころを求めて行動した時、神さまの御業は必ず現れるのです。            

参考1   
第1の誘惑 空腹  申命記8:3 霊的空腹渇き ○ 貧しさの中の誘惑
 パンでは肉体は満たされても、霊(魂・心)は、いやし満たされない。霊的空腹渇きは、
霊のパンである「神の言葉とイエスの贖罪の愛そして聖霊・永遠の命」を頂かないかぎ
り満たされないのです。
第2の誘惑 エルサレム神殿 申命記6:1    ○ 宗教的誘惑
神さまを疑い試みてはならない。つまりこの世のもの偶像「被造物(自然や生き物)・自分も含めた人間など」を拝んだりしてはいけない。神さまの御心に従う。まことの神さまを信じ従う事、つまり主にすべてを委ねて生きていくことへの勧め。
第3の誘惑 山の上 申命記6:16       ○ 富と権力の誘惑
神さまに栄光を帰す生き方への勧め。

参考2 サタンよ、出て行け!
イエスさまは、サタンを一喝された。これは、私たちの中に入り込み巣食うサタン(神さまから私たちをきりはなそうとうる力)を追い出す力を持っていることを示している。

参考3 誘惑する者: (へ)ペイラゾオー 現在分詞 誘惑する、試す。 
    試練    (ギ)ペイラスモス ヤコブ1:2、3
    悪魔    (ギ)ディアスボロス 「敵対者、反抗者」 
    ヨハネ12:31、Ⅱコリント4:4、ヨハネ黙示録12:9
 マタイのこの箇所では、誘惑する者より、試す者と訳した方が良い。また、ヨブ記と同じで、サタンの働きが神さまの権威の下にあることを暗示している。神さまは、イスラエルの民を荒野で40年間の試練を与えられました。これは、イスラエルの民がまことの神の民(神さまに従う民)となるための訓練であったのです。    

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