「小羊の会」2023年1月26日
法亢聖親牧師からのメッセージ
奨励題「預言の成就」 (マタイ2:16~23)
「さて、ヘロデは占星術の学者たちにだまされたと知って、大いに怒った。そして、人を送り、学者たちに確かめておいた時期に基づいて、ベツレヘムとその周辺一帯にいた2歳以下の男の子を、一人残らず殺させた。」(マタイ2:16)
1 ヘロデ王、ベツレヘムの子どもたちを惨殺する
ヘロデ王は、自分の王座を守るために、ユダヤ人の王とされるイエスさまを亡き者にするため、ベツレヘム地方の2歳以下の男の子を皆殺すようにとの命令をだした(16)。この事件は、キリストを抹殺しようとする人間の恐ろしさを示しています。自分の欲望を満たしたい人は、キリストを取り除きたいのです。そうした性質を人間だれしも持っていて、幼児虐殺の不条理と私たちの罪は、深く絡み合っています。マタイは、墓の中でラケルが嘆く場面を旧約聖書(エレミヤ31:15)から引用し、それが成就したと言っています(17,18)。イエスさまに起こることは、神さまご自身が決意しておられたこと以外にはない、と強調するためでした。ヘロデの暴挙があっても、最後には神さまの支配が及びます。これこそ真の慰めです。
2 ヨセフとマリヤ、幼子イエスは、ナザレに移り住む
ヨセフは、危険の中でも神さまに信頼して従い、より安全なガリラヤへ行き、ナザレに落ち着きます(22,23)。イエスさまは、そこで成長されました。ナザレは、静かな寒村でしたが、近くには、綿や香料を運ぶ隊商やローマの軍隊が通る有名な道路が走っていました。イエスさまは、この道を通る多種多様な人々を見て育たれ、暮らしの中で起こる軋轢(あつれき)を肌で感じて育たれました。マタイ福音書の特徴は、イエスさまの少年時代の出来事を、旧約聖書の預言の成就として、ユダヤ人たち(イスラエルの民)にイエスさまをメシアとして受け入れるように説得することでした(ミカ5:1、ヨハネ1:46、7:41)。ナザレのことは旧約聖書には、直接言及されていませんが、マタイには、イエスさまがナザレで育たれたことは預言通りであると主張する根拠があったのだと思います。自己中心的な人間も、人間中心的なこの世も、キリストを排除しようとします。しかし、いつもキリスト・イエスと共に在るようにいたしましょう。キリストに聴き、従う者でありたいと思います。神さまの救いのご計画は、必ず成就するからです。
3 この世の力を上回って、みこころを成就される神さま(マタイ2:16,17)
元NHKディレクターの武井博さんは、あのテレビでおなじみの人気人形劇「ひょっこりひょうたん島」の生みの親です。武井さんは次のようなことを言っています。「私の人生は、『ひょっこりひょうたん島』のように漂流し、安住の地、安らぐ港のないものでした。」と。武井さんはいくら人気番組を作っても、心が満たされませんでした。しかし、お嬢さんがカルト宗教に入り、家を出たことをきっかけに、キリスト教会に通い始めました。そして牧師の話を聞き、イエスさまの十字架を知ると、救われなければならないのは、犠牲的愛などなかった自分であることに気づかされました。その時に示された御言葉は、「神は苦しむ者をその苦しみによって救い、彼らの耳を逆境によって開かれる」(ヨブ36:15)は、自分のための御言葉だと受け止め、奥さまと共に二人で洗礼を受けられました。教会の方々も祈ってくださり、問題が起きてから7年後、お嬢さんは自分の意志でカルト教団を脱退し帰って来たのです。この体験から武井さんの信仰は、より一層深まり、NHKを退職後は、牧師となられたのです。真理であるキリストを排除するカルトにお嬢さんがかかわることで、武井さんは苦しみました。しかし、神さまは、その苦しみによって武井さんご夫妻を救いへと導かれたのです。この世の悪の力を上回って、み心を成就される神さまに信頼して生きていきたいものです。
祈りましょう。
天の父なる神さま
この世は、真理の神さまの力を排除しようとする悪の力で満ちています。しかし、どんな暴挙があろうとも、最後には、神さまの力が愛の力が勝ことを確信し、御心を求めて生きていくことができるようにしてください。私たちを御言葉に聴き、み旨に従う者としてください。
み子のみ名を通して祈ります。 アーメン