「世の中に何を残すか」を決める。 使徒行伝20章

「聖書の学びの会」2023年10月25日

★ 法亢聖親牧師からのメッセージ

「天国で神さまに会う前に済ませておくとよい8つのこと」

 「世の中に何を残すか」を決める    使徒行伝20章(p216)

 奉仕: 「受けるより与える方が、さいわいである。」(使徒行伝20:35)

1 支える側と支えられる側 
 私(著者田頭牧師)は数年前に父を見送りました。その前の数年間、支える側としての役割を果たしました。今、私は60歳。ちょうど壮年期と高齢期の分岐点に立っており、両方が見えるようで、私には、やがて支えられる側になっていくということが実感としてあります。60歳という分岐点は、支える側の気持ちと、やがて自分にもくる支えられる側の気持ちの、どちらも考えることができる立ち位置のようです。人は、「支える側の気持ち」になることで、「支えられる側の気持ち」を想像できるようになります。そうすることで、支えられるということを自分事として考えられるようになっていくのです。60歳から歩む80歳ゴールまでの準備期間にすべきこと、すなわち、これまで本書で述べてきた「神さまに会う前に済ませておくとよい7つのこと」には、その人その人の「考え方」「生き方」が現われます。どのように生きたかによって「どのように死ぬか」が決まるとも言われます。ただ、覚えておきたいことは、最後の最後までチャンスがあり、大逆転もあるということです。準備は早いに越したことはありません。でも、生きている限り遅すぎるとうことはなく、最後の最後までチャンスがあります。それを逃してはいけません。 

ポイント どのように生きるかが、どのように死ぬかを決める。

2「奉仕」によってこの世に足跡を残せる 「与うるは、受くるより幸い」(使徒20:35)

ここまで、壮年期から高齢期に至る過程において、人生のラストスパートにやるべきことを「必修科目」として解説してきました。残る一つは、「奉仕」です。これまでの必修科目は、自らがどう生き、どのように死を通じて人生を完全なものにするかであったのに対し、「奉仕」とは、自分のためと言うよりも、他者、社会、世の中のために行うことです。何をして来たか、どのように生きてきたかは人によってさまざまで、他人と同じ道を歩んできた人は誰一人いません。そして今まで生きてきたこと、そのものが金メダルに値すると言う意味では、その人が他人のために尽くしたか、ボランティア活動にいそしんだか、偉大な発明を後世に残したか否かによってその人生の重みに差が出るというわけでもありません。そうではなく、ここではあなたがみずからの人生を通じて得た学びのうち、未来への贈り物を残すべく、私心を捨てて尽くすことを「奉仕」と呼んでいるのです。例えば、専門の技術を持った人は幸いです。それを生かして奉仕を行うことができるからです。医師であれば医療を通して、教師であれば教育を通じて奉仕することができます。私の場合であれば、病院の理事長としての患者さんの幸せ、死を迎える患者さんには魂が癒されることを願い、そのためにできることを行う。それから牧師として、求める方に伝道することでしょう。あなたがそれまで受けて来た教育や仕事上で成し遂げたことの中に、このような人に与えることのできる技術や特技がある人は、ぜひ、それらを世の中に奉仕してください。そうしてあなたが与える事柄は、他人にはない、あなた独自のものです。なぜなら、あなたの奉仕には、それまでのあなたの生き様がにじみ出してくるものだからです。このように言うと、自分には「奉仕」と呼べるような、そんな他人に与えられるようなりっぱなものは持っていないと考える人もいるようですが、どんな人にもその人にできる奉仕の形があるものです。例えばあなたが体験した友人関係、家族関係での和解を語ることによって、それを聞いた人が自(みずから)の友人・家族関係を振り返るかもしれません。話すのが苦手であれば、手紙に書きつづるのでもいいかもしれません。また、なにかをするのが難しいと言う場合であっても、できることがあります。前述の、マザーテレサの活動に協力したジャックリーヌがそうです。彼女は重い病気で活動を諦めることになってもなお、祈ることによってテレサを支えました。人は誰しも、死ぬまで誰かの役に立ちたいと願っています。誰かに「ありがとう」と言われればうれしいし、話を心待ちにしてくれる人を前にして、嫌な気がする人はいないでしょう。長らくお勤めしてきた人が退職すると、急に人に会わなくなり、暇(ひま)をもてあましてしまうことがあります。それまで自分を取り囲んでいた部下や取引先との関係性が断たれ、人の役に立っていないと感じることもあるかもしれません。そういうときには「奉仕」について思い巡(めぐ)らせてみて下さい。人の役に立つ行動をすることで、利害関係を抜きにした新たな関係が構築されていきます。「奉仕」を行うことは、他人の役に立つための、最も確かな手段なのです。見返りを求めずに与えるものが奉仕の在り方だという考えもあるのかしれません。けれども人は、だれかに何かを与えることによって、最も多くのものを受けとります。そして、その副産物として求めずとも手に入れるものこそが、あなたの人生を彩るのです。

ポイント 奉仕によって手に入るものがあなたの人生を彩る。与えられるものは惜しまずさしだしましょう。

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