「三位一体の神」 マタイによる福音書29:16~20

「小羊の会」2023年5月18日

★法亢聖親牧師からのメッセージ

「三位一体の神」        マタイ28章19節(16~20節)     
                          
 キリスト教は、ユダヤ教、イスラム教とともに一神教と言われている、唯一の神を信じる宗教です。しかしキリスト教の場合は、唯一が単純な唯一ではありません。三位一体(さんみいったい)と言われる唯一です。
 三位とは、父なる神と子なる神=イエス・キリストと聖霊なる神の三者を指します。父は、天地の創造者であり、時至ってみ子イエスをこの世に派遣します。み子は人類の罪の犠牲となって十字架につき、神との間に和解をもたらしてくださいました。同時に御子は父がどのような方であるかを示されました。聖霊は復活なさった御子の霊で、父と御子によって世に遣わされ、御子が誰であるかを示し、また私たちの信仰と愛を完成へと導いてくださるのです。
 この三者は、いずれも神にていますのですが、ここで一番問題になるのは、「イエスは神か」ということです。ヨハネ福音書20章28節は、イエスが神にていますことを明らかにしています。紀元325年のニカイア会議においても御子は父と同質であるお方と言い表されました。
 この三者が一体だというのがキリスト教の神です。三者は、それぞれ区別して考えなければなりませんが、ばらばらに分離することはできません。それぞれ密接に絡み合っているからです。三角柱にたとえ三面一体と言うこともできますし、一つの円の中に三つの小さな円を描いて説明することもできます。いずれにせよ三者それぞれの働きは創造、和解、完成と一応区別してとらえることができますが、本当は、どの業も三者がかかわっているのです。創造一つとっても御子と聖霊が協同していますように、三者が常に一致して一個の人間の創造、和解、完成のために働いてくださっているのです。まことにありがたいことです。まさに三者は、私たちの讃美と知恵と命の源なのです。
参考:ヨハネ10:38、8:58、8:16、5:18,15:26―

「日本人の多くが信じる神を認める多神教は、人類の平和共存を図るためにも一神教よりはるかに有効であるように思われる。」(梅原猛氏)
 梅原氏が盛んに一神教を攻撃したのには、当時の時代状況がありました。ブッシュ大統領の時代のアメリカは、イラクを攻撃し、あたかもキリスト教とイスラム教の宗教戦争のように思われたからです。ところが客観的にみてみますと、イラク戦争は、9・11同時多発テロに対するアメリカの報復です。単なる宗教戦争ではないのです。イスラエルとパレスティナ諸国との確執もそうです。ユダヤ教徒とイスラム教徒の摩擦ではないのです。国益と領土の問題です。アメリカは、キリスト教人口が多くいますが、だからといってイスラム教やユダヤ教や仏教を信じる人を迫害しているかといいますとしていません。宗教・信教の自由を認めています。イラクにも三パーセントのキリスト教徒がいます。一神教であっても他者の宗教を認めています。多神教だけがこれを認めているわけではありません。ただし「この認める」ことは、他の宗教の存在を認めることですが、その宗教が本物であるかどうかは別問題です。どの宗教を信じている人も自分の信じている宗教が本物であると信じています。キリスト者である私たちもそうです。「わたしたちが救われるべき名は天下にこの名(キリスト)のほか、人間には与えられていない」(使徒4:12)とペテロが言っている通りです。他の宗教者もそれぞれの確信に立っています。その確信・信仰を互いに認めつつ、その上で、より真理なのはどちらなのか、という話し合いの余地は常に残されています。多神教ならよくて一神教はだめなのだと簡単に決めつけてよいのでしょうか。八百万の神々を祭る神道、たくさんの仏像を本尊とする仏教には問題点はないのでしょうか。
 パウロはアテネにおけるたくさんの偶像を見て「あなたがたが知らずに拝んでいるもの、それをわたしはお知らせしましょう」(使徒17:23)と言いました。私たちもパウロの思いをもって愛する同胞の人々に父・子・聖霊なる三位一体の恵みの神を愛をもって伝えていきたいものです。

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