「主の祈り」 マタイによる福音書6:9~13

「小羊の会」2023年3月16日

 法亢聖親牧師からのメッセージ

 「主の祈り」   (マタイ6:9~13)

 「だから、あなたがたはこう祈りなさい。天にましますわれらの父よ、御名があがめられますように。」(マタイ6:9)

1 天に関する祈り
 主の祈りの前半(6章9、10節)は、天に関する祈りで、後半(6章11~13節)は、地に関する祈りです。
 祈りの中心は、祈る前からすべてをご存知の父なる神さまと結ばれ、交わることです。そこでイエスさまは、「天にまします我らの父よ」と呼びかけるよう、お教え下さったのです。イエスさまは、神さまが人の必要を満たされる父であり、崇められるお方であると言われます。「あがめる」は、区別する、感謝する、讃美することで、キリストにより贖(あがな)われたゆえに、畏れと讃美とを持ってみ名をあがめるのです(9節)。御国は、神さまの御心が完全に行われるところです。そして神さまのみこころは私たちに最善を与えることです(10節)みこころを求めるところが他の宗教と異なる、キリスト教徒の祈りの特徴です。

2 地に関する祈り 
 イエスさまは、神さまの栄光、御国、みこころを求めた後は、一見俗っぽい、日ごとの糧のことを祈るよう教えられました(11節)。人を惑わすものは、思想や哲学よりも、空腹や疲労などの、衣食住に関する問題である場合が多いからです。私たちは、とりつくろって「特別な」問題についてのみ祈る必要はなく、あるがままの姿勢で御前に出て心の底からなんでも祈り申し上げればよいのです。負債(負い目)を赦すとは、罪を忘れること
ではなく、その罪のために、相手との愛の関係を断絶されない状態を言います。 人を赦すと言うことは、自分が赦されるための条件ではありませんが、自分が大きな罪をイエスさまによって赦されていることを知っているならば、他人の罪は当然ゆるせるはずです(12節)。「試み」とは、人を神さまから引き離そうとするサタンの誘惑のことです。罪の赦しを祈った後は、将来再び罪を犯すことのないようにと、イエスさまは教えられました。

3 天の父を知って (マタイ6:9)
 賀川豊彦は、父と愛人の間に生まれ、4歳で両親と死別しました。成長するにつれ、自分にも父と同じ血が流れていて、堕落してしまうのではないかと言う恐怖心に襲われるようになりました。しかし、14歳の時、宣教師のバイブルクラスに通うようになり、聖書に触れて、少年豊彦の霊性は変革されました。①天の父を発見し、孤児ではなくなり、②キリストの十字架の福音によって神さまの子として正しい道を歩む確信が与えられたので
す。そして洗礼を受け、伝道者になる決心をし、それ以来神さまと人のために愛の働きを生涯続けました。幼子のような素直さで、神さまを信じきってみこころを求めた賀川の祈りは、必ず応えられたと周りの人々は証言しています。そして、日本の救いを願う賀川の祈りが、世界を動かしました。敗戦後の日本をロシア、中国、アメリカの3か国が分割して領有しようというロシアの主張は、蒋介石の反対で実現しませんでした。蒋介石の婦人
が、日本には中国国民のために祈るドクター・カガワがいるから日本の国を分断したくない、と言ったためです。全知全能の神さまが私たちの父であることを知った時、私たちには神さまの子としての神さまの子という自覚が生まれます。その神さまの子どもとして父なる神さまを信頼し、みこころを求める時、神さまは、栄光を現してくださるのです。

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