「挨拶に込められた感謝と祈り」パート1 ローマ1:1~11

2022年6月8日「聖書の学びの会」
法亢聖親牧師からのメッセージ

「挨拶に込められた感謝と祈り」パート1          ローマ1章1~11節

 ローマ、それはローマ帝国の首都にして、当時の世界の政治、経済、文化の中心地でした。「パックス・ロマーナ(ローマの平和)」による安定した時代であり、「すべての道はローマに通ず」とあるように、ローマは、あらゆる人々や情報が集まり、拡散していく、世界の交通・通信の中心でもありました。パウロは、いまだローマにある教会に足を運んだことがありませんでしたが、「神さまの御心によって道が開かれ、なんとかして」ローマを訪問したいと願っていました。それは、ローマにいる信徒たちに、御霊の賜物をいくらかでも分け与えて、彼らの信仰を強くしたいと願っていたからでした(1:10,11)。ローマ帝国の植民地の一つに過ぎないユダヤにおいて始まったイエス・キリストの福音を、世界の隅々まで広めていくためには、ローマの教会をゆるぎないものとすることがどうしても必要であるとパウロは考えたからです。
 パウロは、この手紙を第3回伝道旅行のさなか、コリント滞在中に書いたと思われます。パウロの福音宣教の実であり、福音の同労者であるガイオの家で、テルティオがパウロの語ることばを手紙として書きとっていきました(16:22,23)。パウロは、まず、自分の立場を明確にしています。「わたしたちは、その御名のために、すべての異邦人を信仰の従順に至らせるようにと、彼によって恵みと使徒の務めとを受けたのでした。」(1:5)と、パウロは自身の異邦人伝道への意気込みを語っています。
 7節から平安を祈る挨拶が続きます。「ローマにいるすべての、神に愛され、召された聖徒たちへ。わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安があなた方にありますように」。手紙の中には、歯に衣(きぬ)を着せない厳しい叱責も見られますが、パウロは、根本的に、ローマにいるすべての信徒たちを愛し、敬意を払い、彼らに主の平安があることを祈っています。8節でも「まず第一に、わたしは、あなた方の信仰が全世界に言い伝えられていることを、イエス・キリストによって、あなた方一同のために、わたしの神に感謝する」とすべての信徒たちについての神への感謝がささげられています。さらに、「わたしは、祈りのたびごとに、絶えずあなた方を覚え、いつかは御旨にかなって道が開かれ、どうにかして、あなた方の所に行けるようにと願っている。このことについて、わたしのためにあかしして下さるのは、わたしが霊により、御子の福音を宣べ伝えて仕えている神である。」(1:9,10)とあり、パウロは絶えずローマの教会の信徒たちのことを思い、祈っていたことが分かります。場所は、離れていても、心は共にあったのです。
 パウロのあいさつには、ローマの信徒たちへの「敬愛」「感謝」「祈り」がこめられています。「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべてのことについて感謝しなさい。(Ⅰテサロニケ5:16~18)とのみことばを思い起こします。教会に問題がないわけではありません。時に、深刻な問題に直面することもあると思います。しかし、私たちは、神さまがご自分の血をもって買い取られた神の教会(使徒20:28)を愛し尊び、感謝をささげ、祈り続けていくお互いでありたいと思います。御霊がそれを可能としてくださいます。 

天の父なる神さま
  わたしたちのうちに主イエスにある兄弟姉妹に対する「敬愛」の念が深められますように。様々な問題があってもあなたに感謝することを忘れることがないようにしてください。また、あらゆる問題をあなたに祈り、委ねます。主よ、最善に導いてください。
  御子のみ名によって祈ります。アーメン     

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