「金持ちの青年」 マルコによる福音書10章17~31節

降誕節第9主日礼拝2022年2月20日
聖書:マルコによる福音書10章17節~31節
説教:「金持ちの青年」
   保母光彦牧師
讃美歌:21-412

★暗誦聖句
・2月21日(月): ルカによる福音書18章27節●
 イエスは言われた、「人にはできない事も、神にはできる」。
・2月22日(火): マルコによる福音書10章17節
 イエスが道に出て行かれると、ひとりの人が走り寄り、みまえにひざまずいて尋ねた、「よき師よ、永遠の生命を受けるために、何をしたらよいで しょうか」。
・2月23日(水):マタイによる福音書19章16節●
 すると、ひとりの人がイエスに近寄ってきて言った、「先生、永遠の生命を受けるためには、どんなよいことをしたらいいのでしょうか」。
・2月24日(木): ルカによる福音書18章18節●
 また、ある役人がイエスに尋ねた、「よき師よ、何をしたら永遠の命が受けられましょうか」。
・2月25日(金):マルコによる福音書10章29節●
 イエスは言われた、「よく聞いておくがよい。だれでもわたしのために、また福音のために、家、兄弟、姉妹、母、父、子、もしくは畑を捨てた者は、」
・2月26日(土): マルコによる福音書10章30節●
 必ずその百倍を受ける。すなわち、今この時代では家、兄弟、姉妹、母、子および畑を迫害と共に受け、また、きたるべき世では永遠の生命を受ける。

★説教要約
*目標: 自分の頑張りや行いによってではなく、神が永遠のいのちを与えてくださることを知る。
*主題:永遠のいのちは、神が与えてくださるものである。
*暗誦聖句:「人にはできないことが、神にはできるのです」 (ルカ18:27●)

○皆さんが今一番欲しいものは何でしょうか。イエスの時代のユダヤ人にとって、手に入れたいものの第一位は、「永遠のいのち」だったでしょう。しかし、それがどうしたら手に入るかを知っている人は、あまり多くはなかったようです。本日の話に出てくる青年もそうでした。

1.青年の問題点 (マルコ10:17節●)
 ある青年がイエスに近づいてきて質問をします。この人物は、若くして指導者の立場にあり、かつ裕福でした。〔マタイ19:16●~22,ルカ18:18●~23参照〕
 青年は、「永遠のいのちを受け継ぐためには、何をしたらよいでしょうか」と尋ねました。当時のイスラエル人の最大の関心事は、「どうしたら永遠のいのちを得られるか」、言い換えれば「どうしたら神の国に入れるか」ということでした。ヨハネ3章では、老齢の指導者ニコデモが同じ疑問を抱いて、イエスを訪ねています。

2.主イエスの指導 (18~22節)
 イエスは、青年が「何をしたらよいか」と行いによって救われる方法を尋ねたことを受けて、すべきことは知っているでしょうと言って、「十戒」のうちの幾つかの命令を挙げました。19節を読みましよう。すると青年は、「少年の頃から、それら全てを守ってきた」と答えました。青年の反応はイエスの想定どおりだったでしょう。イエスは、彼が自分の欠けている点に気づいていなことを気の毒に思い、慈しんで言われました。21節を読みましょう。
 これは、「財産を売り払って良いことをすれば、永遠のいのちを得られる」という意味ではありません。イエスは、彼が神を愛するよりも、財産を愛し、依存していることに気づかせようとなさったのです。表面的には完璧に神の命令を守っているつもりでも、富への執着という内面に潜む問題があったようです。

3.人にはできないが、神にはできる (23~31節)
 富を捨ててイエスに従わなければならないと聞いた青年は、顔を曇らせて、悲しみながら去って行きました。イエスは彼自身に判断をゆだね、引き止めることはなさいませんでした。この大きなショックが、今後の人生におて、青年を深い悔い改めに導くと期待されたからでしょう。そして同時に、私たちも問われています。「自分がこの青年だったら、この先どう生きますか? これからの人生で答えなさい」と。
 「自分はできている」と思っていても、人間は不完全で、完璧に従える人はいません。神に従うことのできる人はいません。神に従うことを妨げる要因を必ずもっているものです。私たちは、自分で自分を救うことはできないのです。しかし、主イエスは弟子たちに、「神にはどんなことでもできるのです」と教えられました。イエスだけが救いを与えてくださると心から認めて、すがることが、私たちには必要なのです。

4.復習と適用
① この青年は、どのような気持ちでイエスに近づき、「永遠のいのちを得るには何をしたらよいか」と尋ねたと思いますか? 
想像:十戒を守っているという自負はありそう? しかしイエスに近づき永遠のいのちを得るには「何をしたらよいか」と尋ねたと思われますか? (十戒を守っているという自負がありながら、永遠の命を得ている確信はなく、欠けているところを教えていただきたかったのだろう、〔マタイ19:20:そこで、この青年は言った。「そういうことはみな、守ってきました。まだ何か欠けているのでしょうか?」 21節「イエスは言われた、『もし完全になりたいのなら、行って持ち物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。』とイエスに言われて欠けているが、あるいは、もういのちを得ていると言っていただきたかったのかもしれない」〕。
② 主イエスはどのような気持ちで青年にことばをおかけになったと思いますか? (神の教えを実行する大切さはもとより、青年を慈しんで彼自身の「欠け」に気づかせようとなさった)
③ みなさんは、この青年にとっての「財産」のように、執着しているものがありますか? (神より重要視している。依存しているものがないだろうか)
④ ペテロは、財産を捨てられなかった青年と、イエスの弟子である自分たちに比べて、「私たちは全てを捨てて従ってきました」とイエスに言いました。イエスに従う者にはどんなことが約束されていますか。(マルコ29●~30節●:イエスに従うことで捨てるものもあるが、それ以上の受けるものがあることを覚え、主に信頼して従い続ける者となりたい。

               【聖書から】 マルコによる福音書10章17~31節 (新共同訳)

                         金持ちの青年

10:17イエスが旅に出ようとされると、ある人が走り寄って、ひざまずいて尋ねた。「善い先生、永遠の命を受け継ぐには、何をすればよいでしょうか。」18イエスは言われた。「なぜ、わたしを『善い』と言うのか。神おひとりのほかに、善い者はだれもいない。19『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証するな、奪い取るな、父母を敬え』という掟をあなたは知っているはずだ。」 20すると彼は、「先生、そういうことはみな、子供の時から守ってきました」と言った。21イエスは彼を見つめ、慈しんで言われた。「あなたに欠けているものが一つある。行って持っている物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。」22その人はこの言葉に気を落とし、悲しみながら立ち去った。たくさんの財産を持っていたからである。23イエスは弟子たちを見回して言われた。「財産のある者が神の国に入るのは、なんと難しいことか。」24弟子たちはこの言葉を聞いて驚いた。イエスは更に言葉を続けられた。「子たちよ、神の国に入るのは、なんと難しいことか。25金持ちが神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい。」26弟子たちはますます驚いて、「それでは、だれが救われるのだろうか」と互いに言った。27イエスは彼らを見つめて言われた。「人間にできることではないが、神にはできる。神は何でもできるからだ。」28ペトロがイエスに、「このとおり、わたしたちは何もかも捨ててあなたに従って参りました」と言いだした。29イエスは言われた。「はっきり言っておく。わたしのためまた福音のために、家、兄弟、姉妹、母、父、子供、畑を捨てた者はだれでも、30今この世で、迫害も受けるが、家、兄弟、姉妹、母、子供、畑も百倍受け、後の世では永遠の命を受ける。31しかし、先にいる多くの者が後になり、後にいる多くの者が先になる。」

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