「神さまの恵みの系譜」 マタイによる福音書1章1~17節

「聖書の学びの会」2022年1月19日
「神さまの恵みの系譜」マタイによる福音書1章1~17節
 法亢聖親牧からのメッセージ

1,イエス・キリストの系図(マタイ1:1~17)
 福音書記者マタイは、ユダヤ人のためにこの福音書を書きました。そのため冒頭にはユダヤ人にとって重要な系図を記して、イエスさまがキリストであることを証明しています。また、マタイはこの系図に、普通は入ることのない女性4人を登場させました。
 旧約聖書をよく知っているユダヤ人にとっては、その特別な事情にすぐに思い当たる女性たちです。その4人のうち3人は重大な罪を犯した女性たち、残る一人は、とても温和な女性なのですが、ユダヤ人ではなく、モアブ人なのです。マタイは、そういう女性たちをわざわざ系図に載せたのです。

2,マタイの系図の意図
 系図は、通常余計な事情を省き、きれいに整理整頓して作成するものです。しかし、マタイはさらさなくてもよい恥の部分をあえて載せています。どのような意図があるのでしょうか。4人の女性を個別に見てみましょう。
 一人目:タマル(3節)
 タマルは、初めはユダの長男エルの妻でした(創世記38:1~30)。エルが死ぬと、次男オナンの妻となります。オナンも死ぬと末息子のシラが成人するまでユダは、タマルを実家に帰します。しかし、ユダはシラが成人しても、なかなかタマルを呼び戻して息子の妻にしようとしません。そこでタマルは遊女を装ってユダをだまし、しゅうとのユダと結ばれて双子を産みます。このように、あってはならない経緯によって生まれた子供がキリストの系図に入っているのです。
 二人目:ラハブ(5節)
 ラハブは、城塞都市エリコに住んでいたカナン人の遊女です(ヨシュア記2,6章)。
ヨシュアが遣わしたイスラエルの斥候(偵察隊)を、エリコの王の放った追っ手からかくまい、窓からつり降ろして逃がし、助けました。その代わり、イスラエルがエリコを占領する時に、命を助けてもらうという約束を得たのです。ヨシュアはその約束を守り、ラハブ一家の命を助けました。このラハブが、ルツ記に登場するボアズを産むのです。
 三人目:ルツ(5節)
 ルツは、貞淑な女性ですがモアブ人です(ルツ記)。飢饉に見舞われたベツレヘムを逃れてきたエリメレクとナオミの子、マロンと結婚しました。その後しゅうとも夫も死にます。故郷に帰るというしゅうとめナオミに従って、ベツレヘムに行く決心をします。落ち穂を拾っている時に、エリメレクの親族のひとりであるボアズと知り合い、結婚しました。ルツは、エッサイの父であるオベデを産み、エッサイからダビデが生まれたのです。 
 四人目:ウリヤの妻(6節)
 ウリヤの妻は、ヒッタイト人ウリヤの妻バテシェバです(サムエル記下11,12章)。
 夫ウリヤが戦場にいる時に、ダビデ王に召し入れられて妊娠をしました。ダビデはそのことを隠ぺいするため、ウリヤが戦死するように仕向けました。バテシェバは妻として王宮に迎えられ、のちに、王となるソロモンを産むことになります。

 マタイは、キリストの系図に異邦人、罪びとを書き記すことにより、イエスさまこそ来るべきメシアであることを知らせ、ユダヤ人のみならずマタイ福音書を読む全てのひとに、全人類のキリストとして関わってくることを伝えたのです。
 イエス・キリストは、あなたの救い主となるために来られました。新しい年マタイによる福音書を少しずつ通読をしていきたく思います。

関連記事

PAGE TOP