「キリスト教の祈りについて」マタイによる福音書5章43~48節、21章18~22節

・2022年1月12日 「聖書の学びの会」
・「キリスト教の祈りについて」 マタイによる福音書5章43~48節、21章18~22節
・法亢聖親牧師からのメッセージです。

 新年を迎えますと日本人の多くは、初詣に行きます。また仕事始めの日に恵比寿さんなどに社長以下勢ぞろいして「商売繁盛」の祈願に行く会社もあります。ここ2年ほどは、コロナ禍で密を避けて集団での参拝を控えているようです。日本では、都合の良いお恵みを願う風習があります。無病息災、家内安全、商売繁盛、病気平癒、受験合格、良縁成就、怨敵退散、武運長久、子孫繁栄などです。今は、疫病退散を謳う神社やお寺に祈願者が集中しているようです。呪文などで悪霊を追い払う言霊信仰などもあります。(ご利益信仰)

1,「敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい」(マタイ5:44)
 さて、キリスト教の祈りとは、どのようなものでしょうか。類型的に見てみましょう。
「敵を愛し(アガパーテ)、自分を迫害する者のために祈りなさい(プロシューケスセ)」(マタイ5:44)とイエスさまは、弟子たちに命じました。これは敵であっても大事にし、自分に危害を加える者に対して反撃したくても神のご指示があるまでじっと耳を澄ませて待ちなさいという意味であるように思います。こうしたイエスさまの真意が分かりますと敵や迫害する人のことを祈れるようになるのではないでしょうか。

2,祈りの四つの区分
 祈りという言葉が新約聖書の4つの福音書の中だけでも74回出ています。原語のギリシャ語では、4つに区別することが出来ます。
① プロシュウコマイ(祈祷する)、プロシューケー(祈祷)
② ユーカリステオー((感謝の祈りをささげる)、ユーカリスティア(感謝の祈り)
③ ユーロゲオー(讃美、祝福の祈りをささげる)、ユーロギア(讃美、祝福)
④ デオマイ(願う、祈る)、デーシス(願い、祈り)、テーゴマイ(祈願)

3,プロシューケー(祈祷)とテーゴマイ(祈願)
 聖書全般では、区分①のプロシューケーが多く使われ、祈祷一般を指します。新約聖書では、つねに神への祈りに限定して使われています。それに対してデーシスは、必要とするものを求めることが主な意味で、神への懇願に用いられています。また人への頼みごとでも用いられます。自分にとって都合の良いことが起きるように祈るのは、デーシスの変化形のデーゴマイという言葉です。日本人の祈りは、区分④のデーゴマイ(祈願)ということになります。

4,「信じて祈るならば、求めるものは何でも得られる」(マタイ21:22)
 イエスさまは、「信じて祈る(プロシュウコマイ)ならば、求めるものは何でも得られる」(マタイ21:22)と仰っていますが、求めても癒されないこともあります。問題は、プロシュウコマイの意味にあるのだと思います。有名な「サムエルの祈り」があります。ユダヤ人たちの祈りの基本がここにあります。少年サムエルは、祭司エリに仕えていた時、ある晩3度「サムエルよ」と呼ぶ声があり、3度目にエリに言われたとおり「主よ、お話ください。じもべは、聞いております」と答えました(サムエル上3:8、9)。つまり、プロシュウコマイの心とは、お役に立ててください、お用いください、何をなすべきかお示しください、という心がこの祈りの意味です。従って、神にゆだねてお役に立ちたいのです。どうしたらよいでしょうか、神さまからの語りかけてくる声に耳を傾ければ、必ずお示しくださるという意味であるのではないでしょうか。

5,「求めなさい。そうすれば、与えられる」マタイ7章7節
 天の父のみ旨にかなったもの(こと)が与えられる。また、聞き届けられる。
 祈りのお手本 主の祈り(マタイ6:9~13) 参考 Ⅰテサロニケ5:16~22

6,五本の指の祈り
①手を組んだ時、自分に一番近いのは親指です。まずは、最も近くにいる人、愛する人のために祈りましょう。(ピリピ1:3~5)
②人差し指は「示す」指です。ですから、教会では、聖書を教える人、牧師、教会学校の教師、役員のため。社会全般では、教師や教授など教える立場にある人たちのために祈りましょう。(Ⅰテサロニケ5:25)
③一番長いのが中指です。権威を持つ人のために祈りましょう。国や行政などの指導者、職場の上司などといった人々のために祈りましょう(Ⅰテモテ2:1,2)。
④四番目の薬指はたいてい、最も弱いものです。困っている人、苦しんでいる人、子供のために祈りましょう。(ヤコブ5:13~16)
⑤最後は、小さな小指です。神の偉大さに照らされて、自分の存在がいかに小さいかを思い出し、神さまが自分の必要を満たしてくださるよう祈りましょう。(ピリピ4:6、19)

― どんな言葉で祈るかではなく、どんな心で祈るかが問題です!―
1,天の父に呼びかける:祈りが父なる神さまとつながります。
2,イエスさまのみ名を通して祈る。(ヨハネ15:16)
3,アーメン:ヘブル語で、誠にあるいは、その通りになりますようにとの意味。

 天の父なる神さま、どうか私に自分の事だけではなく人のために祈る知恵と言葉をください。  み子のみ名により祈ります。 アーメン

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