「神にゆだねたダビデ」 サムエル記上24章・26章

2021年11月14日降誕前第6主日礼拝
聖書:サムエル記上24章・26章
説教:「神にゆだねたダビデ」
    保母光彦牧師

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★暗誦聖句
・11月15日(月):ローマ人への手紙12章21節●
悪に負けてはいけない。かえって、善をもって悪に勝ちなさい。
・11月16日(火):サムエル記上24章3節●
途中、羊のおりの所にきたが、そこに、ほら穴があり、サウルは足をおおうために、その中にはいった。その時、ダビデとその従者たちは、ほら穴の奥にいた。
・11月17日(水):サムエル記上24章4節●
ダビデの従者たちは彼に言った、「主があなたに告げて、『わたしはあなたの敵をあなたの手に渡す。あなたは自分の良いとおもうことを彼にすることができる』 と言われた日がきたのです」。そこでダビデは立って、ひそかに、サウルの上着のすそを切った。
・11月18日(木):サムエル記上24章6節●
ダビデの従者たちに言った、「主が油を注がれたわが君に、わたしはこの事をするのを主は禁じられる。彼は主が油を注がれた者であるから、彼に敵して、わたしの手をのべるのは良くない」。
・11月19日(金):サムエル記上26章8節●
アビシャイはダビデに言った、「神はきょう敵をあなたの手に渡されました。どうぞわたしに、彼のやりをもってひと突きで彼を地に刺しとおさせてください。ふたたび突くには及びません」。
・11月20日(土):サムエル記上26章9節●
しかしダビデはアビシャイに言った、「彼を殺してはならない。主が油を注がれた者に向かって、手をのべ、罪を得ない者があろうか」。

★説教要約
*目標:神の正しいさばきを信じ、ゆだねる者となる。
*主題:神のさばきにゆだねる。
*暗誦聖句:「悪に負けてはいけません。むしろ、善をもって悪に勝ちなさい」      (ローマ12:21●)

古代の戦史などを読むと、敵味方が互いに気がつかないまゝ、近くをすれ違ったりしています。ダビデの逃避行とサウル王の追跡もそうだったのです。
 〔神にゆだねたダビデ〕   サムエル記上24,26章

1.ダビデの逃避行        (24:1~2)
 ダビデはヨナタンとの悲しい別れを経て、逃避行を始めました。それは長期にわたることとなり、ダビデは一時、周辺に身を寄せたり、祭司のもとに逃れたり、またヨナタンと短く再会したこともありました。
 聖書では、18章ころからダビデとサウルの敵意が現れはじめました。
 本日は、サウル王の手からの逃亡生活は、ダビデとその部下たちにとってどれほど厳しい日々を強いられたことでしょうか。一刻も早く、このつらい生活から抜け出して、自由な普通に戻りたいと願ったことでしょう。その絶好のチャンスが二度も訪れました。

2.エン・ゲディの洞穴で
 エン・ゲディの洞穴にダビデと部下は息をひそめて隠れていました。そこに三千人の精鋭部隊を率いて捜索に来たサウル王が、「用をたすために中に入った」(24:3●) この記事は聖書中でただ一つの、トイレ事情を示す珍しい箇所です。イエス様も「それは人の心には入らず、腹にはいり排泄されます」(マルコ7:19)と語っていますが、トイレ事情を示すことばではありません。
 三千人の兵士たちは、岩陰に穴を掘って用を足せば済みますが、王様はそうはいきません。都合よく洞穴があったので、そこに入って用を足すことにしたのです。明るい外から暗い洞穴に入ったサウルは奥の方にダビデ一行が潜んでいることには気づきません。しかし、ダビデたちはサウルの姿が手に取るようにわかります。 入口に向かって用を足すサウル。それに手が届く所にダビデたちがいます。声の響く洞穴の中で、小声であってもしゃべることはできません。部下はダビデを突っつきながら、ジェスチャーで促したのでしょう。「今日こそ、主があなた様に、『見よ、わたしはあなたの敵をあなたの手に渡す。彼をあなたの良いと思うようにせよ』と言われた、その日です」(24:4●)
 しかし、ダビデはサウル王の上着の裾をこっそりと切り取るだけにします。「私が主に逆らって、主に油注がれた方、私の主君に対して、そのようなことをして手を下すなど、絶対にあり得ないことだ。彼は主に油注がれた方なのだから」(同6節●)
 洞穴から出たサウルの後ろからダビデも出て、「王よ」と呼びかけ、ひれ伏して礼をします。そして切り取った衣の裾を示しながら、自分には、殺意がないこと、何の罪も犯していないことを主張します。
 事態を理解したサウルは声を上げて泣き始めます。そして、「おまえは私より正しい。私に良くしてくれたのに、私はおまえに悪い仕打ちをした」(同17節)と謝罪します。

3.サウルの陣営で
 しかし、サウルの反省は、悔い改めではありません。ダビデの命をねらっての追跡はさらに続きます。再び精鋭部隊三千人を率いて、そうさくを始めます。
 なんとダビデとアビシャイは、敵の陣営の中に夜陰に乗じて侵入し、サウルの寝ているところにやってきます。再び訪れたチャンスです。アビシャイはダビデに進言します。「神は今日、あなたの敵をあなたの手に渡されました。どうか私に、槍で一気に彼を地面に突き刺させてください。二度することはしません」(26:8●)〔決してはずしません、ということ。〕 
 ダビデの答は変わりません。「殺してはならない。主に油注がれた方に手を下して、だれが罰を免れるだろうか」(同9節●)
 今回はサウルの枕元の槍と水差しを取って立ち去ります。この時も、サウルは自分が大変な間違いを犯したと告白し、ダビデを祝福します。しかし、それで二人は和解できたわけではありません。
 「ダビデは自分の道を行き、サウルは自分のところへ帰って行った」(同25節)

4.サウルとダビデの違い
 サウル王はダビデとの根本的、決定的な違いは、ダビデは常に神を見つめ、神のみこころを求め、神への恐れがありました。サウル王は、ことばの上では神の名を繰り返し使いながら、神への恐れも、神に従おうとする意思も見ることができません。ダビデが二度までも自分の命を救ったのも、主にとどめられ、主にゆだねた結果であることを理解する霊的な判断力を欠いています。
 「彼の目の前には 神に対する恐れがない」  (詩篇36:1)
ダビデの信仰を、彼の詩である詩篇37篇の中に見ましょう。
 「あなたの道を主にゆだねよ。主に信頼せよ。主がなし遂げてくださる。主はあなたの義を光のようにあなたの正しさを真昼のように あなたの正しさを 真昼のように輝かされる」(5~6節)

 

 【聖書から】 サムエル記上24,26章 (新共同訳)

                  エン・ゲティにおけるダビデとサウル
24:1ダビデはそこから上って行って、エン・ゲティの要害にとどまった。2ペリシテ人を追い払って帰還したサウルに、「ダビデはエン・ゲティの荒れ野にいる」と伝える者があった。3サウルはイスラエルの全軍からえりすぐった三千の兵を率い、ダビデとその兵を追って「山羊の岩」の付近に向かった。4途中、羊の囲い場の辺りにさしかかると、そのに洞窟があったので、サウルは用を足すために入ったが、その奥にはダビデとその兵たちが坐っていた。5ダビデの兵は言った。「主があなたに、『わたしはあなたの敵をあなたの手に渡す。思いどおりにするがよい』と約束されたのは、この時のことです。」ダビデは立って行き、サウルの上着の端をひそかに切り取った。6しかしダビデは、サウルの上着の端を切ったことを後悔し、7兵に言った、「わたしの主君であり、主が油を注がれた方に、わたしが手をかけ、このようなことをするのを、主は決して許されない。彼は主が油を注がれた方なのだ。」8ダビデはこう言って兵を説得し、サウルを襲うことを許さなかった。サウルは洞窟を出て先に進んだ。9ダビデも続いて洞窟を出ると、サウルの背後から声をかけた。「わが主君、王よ。」サウルが振り返ると、ダビデは顔を地に伏せ、礼をして、10サウルに言った。「ダビデがあなたに危害を加えようとしている、などといううわさになぜ耳を貸されるのですか。11今日、主が洞窟であなたをわたしの手に渡されたのを、あなた御自身の目で御覧になりました。そのとき、あなたを殺せと言う者もいましたが、あなたをかばって、『わたしの主人に手をかけることはしない。主が油を注がれた方だ』と言い聞かせました。12わが父よ、よく御覧ください。あなたの上着の端がわたしの手にあります。わたしは上着の端を切り取りながらも、あなたを殺すことはしませんでした。御覧ください。わたしの手には 悪事も反逆もありません。あなたに対して罪を犯しませんでした。それにもかかわらず、あなたはわたしの命を奪おうと追い回されるのです。13主があなたとわたしの間を裁き、わたしのために主があなたに報復されますように。わたしは手を下しはしません。14古いことわざに、『悪は悪人から出る』と言います。私は手を下しません。15イスラエルの王は、誰を追って出られたのでしょう。あなたは誰を追跡されるのですか。死んだ犬、一匹の蚤ではありませんか。16主が裁き手となって、わたしとあなたの間を裁き、わたしの訴えを弁護し、あなたの手からわたしを救ってくださいますよ うに。」17ダビデがサウルに対するこれらの言葉を言い終えると、サウルは言った。「わが子ダビデよ、これはお前の声か。」サウルは声をあげて泣き、18ダビデに言った。「お前はわたしより正しい。お前はわたしに善意をもって対し、わたしはお前に悪意をもって対した。19お前はわたしに善意を尽くしていたことを今日示してくれた。主がわたしをお前の手に引き渡されたのに、お前はわたしを殺さなかった。20自分の敵に出会い、その敵を無事に去らせる者があろうか。今日のお前のふるまいに対して、主がお前に恵みをもって報いてくださるであろう。21今わたしは悟った。お前は必ず王となり、イスラエル王国はお前の手によって 確立される。22主によってわたしに誓ってくれ。わたしの後に来るわたしの子孫を断つことなく、わたしの名を父の家から消しさることはない、と。」23ダビデはサウルに誓った。サウルは自分の館に帰って行き、ダビデとその兵は要害に上って行った。

                         サムエルの死
25:1サムエルは死んだので、全イスラエルは集まり、彼を悼み、ラマにある彼の家に葬った。ダビデは立ってバランの荒れ野に下った。

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