出エジプト記13章17~14章31節
葦の海を渡る

5月16日 復活節第7主日礼拝
保母光彦牧師説教

★説教題:「葦の海を渡る」出エジプト記13章17~14章31節

★暗誦聖句
・5月17日(月):出エジプト12章(37,38節)●; さて、イスラエルの人々はラメセスを出立してスコテに向かった。女と子供を除いて徒歩の男子は約六十万人であった。また多くの入り混じった群衆および羊、牛など非常に多くの家畜も彼らと共に上った。
・5月18日(火):出エジプト14章11,12節●;また、モーセに言った、「エジプトに墓がないので、荒野で死なせるために、わたしたちを携え出したのですか。なぜわたしたちをエジプトから導き出して、こんなにするのですか。わたしたちがエジプトであなたに告げて、『わたしたちを捨ておいて、エジプト人に仕えさせてください』と言ったのは、このことではありませんか。荒野で死ぬよりもエジプト人に仕える方が、わたしたちにはよかったのです」。
・5月20(木):出エジプト14章4節●:。わたしがパロの心をかたくなにするから、パロは彼らのあとを追うであろう。わたしはパロとそのすべての軍勢を破って誉れを得、エジプト人にわたしが主であることをしらせるであろう。
・5月21日(金):ペテロへの第一の手紙4章12節●:愛する者たちよ、あなたがたを試みるために降りかかって来る火のような試練を、なにか思いがけないことが起こったかのように驚きあやしむことなく、
・5月22日(土):出エジプト14章13節●: モーセは民に言った、「あなたがたは恐れてはならない。かたく立って、主がきょうあなたがたになされる救いを見なさい。きょう、あなたがたはエジプト人を見るが、もはや永久に、二度と見ないであろう。

★説教要約
*目標:ピンチの時にも慌てずに、神が助けてくださることを思い出して、祈る。
*主題:神は御力をもって救い出してくださる。
*暗誦聖句:「恐れてはならない。しっかり立って、今日あなたがたのために行われる主の救いを見なさい」(出エジプト4:13●)

[葦の海を渡る]
ついにエジプトを脱出したイスラエルの民について、出エジプト(12:37~38●)には、明確に記されている。(5/17)

1.追い詰められて
想像を絶する大集団が、のろのろと移動を始めて紅海のほとりまで来ました。そこにイスラエルの民を解放したことを悔やんだファラオの軍隊が追いかけてきました。前は海、後ろはファラオの軍隊、もはや逃げ場がありません。追い詰められたイスラエルの民はパニック状態になります。そしてモーセに向かって叫び声を上げ非難します。
「エジプトに墓がないからといって、荒野で死なせるために、あなたはわれわれを連れて来たのか。われわれをエジプトから連れ出したりして、いったい何ということをしてくれたのだ。エジプトであなたに『われわれのことはかまわないで、エジプトに仕えさせてくれ』と言ったではないか。実際、この荒野で死ぬよりは、エジプトに仕えるほうがよかったのだ」(14:11~12●)。

2. あなたを苦しめて
イスラエルの民は、これまで次々となされる神のみわざを見てきました。ですから、この絶体絶命の場面で、そうした主の御力を思い出して、主を見上げ、主に祈り、落ち着いて主の救いに期待するかと思いきや、そうした経験はまるで助けにならず、不平を言い、ぐちが飛び出します。
主によって助け出されるイメージよりも、最悪のイメージが浮かんできます。海で溺れ死ぬ姿、パロの軍隊に皆殺しにされて荒野に死体が山になるイメージです。そして、それを不信仰と呼ばないで、危機管理が上手なのだと言い逃れます。
しかし、聖書はそれを不信仰と呼びます。困難や苦しみ、問題にぶつかることによって、明らかにされる心の中に隠された本当の姿です。
「あなたの神、主がこの四十年の間、荒野であなたを歩ませられたすべての道を覚えていなければならない。それは、あなたを苦しめて、あなたを試し、あなたがその命令を守るかどうか。あなたの心のうちにあるものを知るためであった」(申命8:2●)。

3.神のご計画
私たちも人生において、絶体絶命の状況におかれることがあります。しかしそれは自分の目にそう見えるだけです。別の視野、神のご計画という視野に立つと、同じ状況が違って見えます。
そもそも、紅海のほとりまで導いたのは神ご自身でした。「『ファラオの心を頑なにするので、ファラオは彼らの後を追う。しかし、わたしはファラオとその全軍勢によって栄光を現す。こうしてエジプトは、わたしが主であることを知る。』イスラエルの子らはそのとおりにした」。(14:4●)

4.苦しみに遭うとき
人生のさまざまな困難や問題にぶつかるとき、いくつかのことを心に刻んでおく必要があります。
① 燃えさかる試練を、思いがけないこととしない!
ペテロへの第一の手紙4章12節「愛する者たち。あなたがたを試みるためにあなたがたの間で燃えさかる試練を、何か思いがけないことが起こったかのように、不審に思ってはいけません」。
② 恐れていることを認める
「心に恐れを覚える日私はあなたに信頼します」(詩篇56:3)本当は恐れているのに、それを隠して平静をよそおうのは信仰ではありません。信仰はやせ我慢ではありません」。
③ 主を呼び求める
「苦難の日にわたしを呼び求めよ。わたしはあなたを助け出し、あなたはわたしをあがめる」(詩篇50:15)(有名中の有名なみことば)問題ばかり見ていると、ますます落ち込むだけです。モーセは恐れの中で何と言ったか。「主の救いを見なさい」と叫びました(14:13●)。

【聖書から】 出エジプト記13章17節~14章31節 (新共同訳)

火の柱、雲の柱
13: 17 さて、ファラオが民を去らせたとき、神は彼らをべリシテ街道には導かれなか
った。それは近道であったが、民が戦わなければならないことを知って後悔し、エジプ
トに帰ろうとするかもしれない、と思われたからである。
18 神は民を、葦の海に通じる荒れ野の道に迂回させられた。イスラエルの人々は、隊伍
を整えてエジプトの国から上った。
19 モーセはヨセフの骨を携えていた。ヨセフが、「神は必ずあなたたちを顧みられる。そ
のとき、わたしの骨をここから一緒に携えて上るように」と言って、イスラエルの子ら
に固く誓わせたからである。
20 一行はスコトから旅立って、荒野の端のエタムに宿営した。
21 主は彼らに先立って進み、昼は雲の柱をもって導き、夜は火の柱をもって彼らを照ら
されたので、彼らは昼も夜も行進することができた。
22 昼は雲の柱が、夜は火の柱が、民の先頭を離れることはなかった。

葦の海の奇跡
14:1 主はモーセに仰せになった。
2 「イスラエルの人々に、引き返してミグドルと海との間のビ・ハヒロトの手前で宿営す
るように命じなさい。バアル・ツェフォンの前に、それに面して、海辺に宿営するのだ。
3 するとファラオは、イスラエルの人々が慌ててあの地方で道に迷い、荒れ野が彼らの行
く手をふさいだと思うであろう。
4 わたしはファラオの心をかたくなにし、彼らの後を追わせる。しかし、わたしはファラ
オとその全軍を破って栄光を現すので、エジプト人は、わたしが主であることを知るよ
うになる。」彼らは言われたとおりにした。
5 民が逃亡したとの報告を受けると、エジプト王ファラオとその家臣は、民に対する考え
を一変して言った。「ああ、我々は何ということをしたのだろう。イスラエルの人を労
役から解放して去らせてしまったとは。」
6 ファラオは戦車に馬をつなぎ、自ら軍勢を率い、
7 えり抜きの戦車六百をはじめ、エジプトの戦車すべてを動員し、それぞれに士官を乗り
込ませた。
8 主はエジプト王ファラオの心を頑なにされたので、王はイスラエルの人々の後を追っ
た。イスラエルの人々は、意気揚々と出て行ったが、
9 エジプト軍は彼らの後を追い、ファラオの馬と戦車、騎兵と歩兵は、ビ・ハヒロトの傍
らで、バアル・ツェフォンの前の海辺で宿営している彼らに追いついた。
10 ファラオは既に間近に迫り、イスラエルの人々が目をあげて見ると、エジプト軍は既
に背後に襲いかかろうとしていた。イスラエルの人々は非常に恐れて主に向かって叫
び、
11 また、モーセに言った。「我々を連れ出したのは、エジプトに墓がないからですか。荒
れ野で死なせるためですか。一体、何をするためにエジプトから連れ出したのですか。
12 我々はエジプトで、『ほうっておいてください。自分たちはエジプト人に仕えます。荒
野で死ぬよりエジプト人に仕える方がましです』と言ったではありませんか。」
13 モーセは民に答えた。「恐れてはならない。落ち着いて、今日、あなたたちのためにお
こなう主の救いを見なさい。あなたたちは今日、エジプト人を見ているが、もう二度と、
永久に見ることはない。
14 主があなたたちのために戦われる。あなたたちは静かにしていなさい。」
15 主はモーセに言われた。「なぜ、わたしに向かって叫ぶのか、イスラエルの人々に命じ
て出発させなさい。
16 杖を高く上げ、手を海に向かって差し伸べて、海を二つに分けなさい。そうすれば、
イスラエルの民は海に中の渇いたところを通ることができる。
17 しかし、わたしはエジプト人の心をかたくなにするから、彼らはおまえたちの後を追
ってくる。そのとき、わたしはファラオとその全軍、戦車と騎兵を破って栄光を現す。
18 わたしがファラオとその戦車、騎兵を破ってその栄光を現すとき、エジプト人は、わ
たしが主であることを知るようになる。」
19 イスラエルの部隊に先立って進んでいた神の御使いは、移動して彼らの後ろを行き、
彼らの前にあった雲の柱も移動して後ろに立ち、
20 エジプト陣とイスラエル陣との間に入った。真っ黒な雲が立ちこめ、光が闇夜を貫い
た。両軍は、一晩中、たがいに近づくことはなかった。
21 モーセが手を海に向かって差し伸べると、主は夜もすがら激しい東風をもって海を押
し返されたので、海は渇いた地に変わり、水は分かれた。
22 イスラエルの人々は海の中の渇いた所を進んで行き、水は彼らの右と左に壁のように
なった。
23 エジプト軍は彼らを追い、ファラオの馬、戦車、騎兵がことごとく彼らに従って海の
中に入って来た。
24 朝の見張りのころ、主は火の柱と雲の柱からエジプト軍を見下ろし、エジプト軍をか
き乱された。
25 戦車の車輪をはずし、進みにくくされた。エジプト人は言った。「イスラエルの前から
退却しよう。主が彼らのために戦っておられる。」
26 主はモーセに言われた。「海に向かって手を差し伸べなさい。水がエジプト軍の上に、
戦車、騎兵の上に流れ返るであろう。」
27 モーセが手を海に向かって差し伸べると、夜が明ける前に海は元の場所に流れ返った。
エジプト軍は水の流れに逆らって逃げたが、主は彼らを海の中に投げ込まれた。
28 水は元に戻り、戦車と騎兵、彼らの後を追って海に入ったファラオの全軍を覆い、
一人も残らなかった。
29 イスラエルの人々は海の中の渇いた所を進んだが、そのとき、水は彼らの右と左に壁
となった。
30 主はこうして、その日、イスラエルをエジプト人の手から救われた。イスラエルはエ
ジプト人が海辺で死んでいるのを見た。
31 イスラエルは、主がエジプト人に行われた大いなる御業を見た。民は主を畏れ、主と
その僕モーセを信じた。

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