5月2日 復活節第5主日礼拝
★説教題:「モーセの逃亡と召命」出エジプト記2章11~4章31節
★暗誦聖句
- 5月3日(月):出エジプト記3章12節●;神は言われた、「わたしは必ずあなたと共にいる。これが、わたしがあなたをつかわしたしるしである。あなたが民をエジプトから導き出したとき、あなたがたはこの山で神に仕えるであろう」。
- 5月4日(火):出エジプト記3章10節●;さあ、わたしは、あなたをパロにつかわして、わたしの民、イスラエルの人々をエジプトから導き出させよう。
- 5月5(水):出エジプト3章11節●:モーセは神に言った、「わたしは、いったい何者でしょう。わたしがパロのところへ行って、イスラエルの人々をエジプトから導き出すのでしょうか」。
- 5月6日(木):出エジプト4章1節●:モーセは言った、「しかし、彼らはわたしを信ぜず、また私の声に聞き従わないで言うでしょう。『主はあなたに現れなかった』と」。
- 5月7日(金):出エジプト記4章11,12節●:主は彼に言われた、「だれが人に口を授けたのか。話せず、聞こえず、また、見え、見えなくするものはだれか。主なるわたしではないか。」それゆえ行きなさい。わたしはあなたの口と共にあって、あなたの言うべきことを教えるであろう」。
- 5月8日(土):出エジプト記4章13節●:モーセは言った、「ああ、主よ、どうか、ほかの適当な人をおつかわしください」。
★説教要約
*目標:神はそれぞれに使命を与え、必要な力も備えてくださることを知る。
*主題:神は、ご自分が召したものに必要な力をお与えになる。
*暗誦聖句:「わたしがあなたと共にいる。これがあなたのためのしるしである。このわたしがあなたをつかわすのだ。(出エジプト3:12●)
[モーセの逃亡と召命]
モーセの百二十年の生涯は、見事に四十年ごとに区切られています。そして三期に区切られています。
自分は何事かを成しとげられると信じる四十年。自分は何事も成しえないと知らされる四十年。自分には力がないと認める者を用いられる四十年です。
1.自分には特別な力があると行動するモーセ
「モーセという人は、地の上でだれにもまさって柔和であった。」(民数12:13)とありますが、本人が聞いたら顔を赤らめて否定するでしょう。怒りにまかせて殺人を犯した過去をもつからです。逃亡者となったモーセは、ミディアンの井戸の傍らで、水をくむ女性たちを乱暴な羊飼いたちから助けます。その時も強い腕っぷしが発揮され、助けた女性の一人ツィボラを妻とすることになりました。
2.自分には何の力もないと知らされるモーセ
その後モーセは、ミディアンの荒野で、祭司でしゅうとでもあるイテロの羊を飼う羊飼いとして、穏やかな日々を過ごします。四十年間の平凡な羊飼いの日々は、彼をへりくだった人間ではなく劣等感を抱く人間にさせたようです。
ある日、羊の群れを追ってホレブの山まで来ました。シナイ半島の先端に近いシナイ山のふもとです。そこで柴が燃えているのに、燃え尽きない不思議な光景に出会います。それは主の使いが燃える炎の中に現れたものでした。燃え尽き症候群のモーセにとって、燃え尽きない柴の光景は、好奇心を呼び起こしたことでしょう。
3.神とモーセの押し問答
炎の中から語られる主とモーセのやり取りをボクシングに見立てて追ってみましょう。
◎第1ラウンド:「今、行け。わたしはあなたをファラオのもとにつかわす。わたしの民、イスラエルの子らをエジプトから導き出せ」(3:10●)。
八十歳のモーセはこの四十年間、自分を失敗者と呼び、劣等感の塊となっていました。「私は、いったい何者なのでしょう。ファラオのもとに行き、イスラエルの人々をエジプトから導き出さなければならないとは」(3:11●)。神の召しに対して、「自分は行くことができません。私にはその資格がありません」と答えます。
◎第2ラウンド:神は語ります。「わたしが、あなたと共にいる。これがあなたのためのしるしである。このわたしがあなたをつかわす」(3:12●)これほど確かな約束を取りつければ、モーセも「はい」と従うだろうと考えますが、劣等感にとらわれている彼はさらに拒みます。「ですが、彼らは私の言うことを信じず、私の声に耳を傾けないでしょう。むしろ『主はあなたに現れなかった』と言うでしょう」(4:1●)。
◎第3ラウンド:主が確かにモーセに現れたことを証明する力を与えます。杖を投げると蛇に変わり、尾をつかむと杖に戻りました。手をふところに入れるとツアラト(重症の皮膚病)に冒され、もう一度、ふところに入れると元に戻りました。ナイル川の水を地に注ぐと血に変わる力も与えました。これだけの不思議な力を与えれば、分かりましたと言うでしょうか?「ああ、わが主よ、私はことばの人ではありません。以前からそうでしたし、あなたがしもべに語られてからもそうです。私は口が重く、舌が重いのです。」(10節)。劣等感にとらわれたモーセは、さらに言い訳を見つけて、神の召しから逃れようともがきます。
◎第4ラウンド:神は追い打ちをかけます。「人に口をつけたのはだれか。・・・それはわたし、主ではないか。・・・わたしがあなたの口とともにあって、あなたが語るべきことを教える」(4:11~12●)。
誰が何と言っても、嫌なものは嫌とばかりモーセはダダをこねます。「ああ、わが主よ、どうかほかの人をつかわしてください。」(13節●)。
◎第5ラウンド:さすがここまでくると、神の怒りを買いました。『あなたの兄、レビ人アロンがいるではないか。わたしは彼が雄弁であることをよく知っている。・・・』(14節)スポークスマンとしてのアロンを立てられて、とうとうモーセは召しを拒む理由を知りました。神は、今日も多くの人々にその身をささげて、福音のために立ち上がれ、と語りかけ召しを与えようとされています。
今日のモーセたちは、さらに言い訳を重ねていないでしょうか?
【聖書から】 出エジプト記2章11節~4章31節 (新共同訳)
エジプトからの逃亡
2:11 モーセが成人したころのこと、彼は同胞のところへ出て行き、彼らが重労働に服
しているのを見た。そして一人のエジプト人が、同胞であるヘブライ人の一人を打ってい
るのを見た。
12 モーセは辺りを見回し、だれもいないのを確かめると、そのエジプト人を撃ち殺して
死体を砂に埋めた。
13 翌日、また出て行くと、今度はヘブライ人同士が二人でけんかをしていた。モーセが、
「どうして自分の仲間を殴るのか」と悪い方をたしなめると、
14 「誰がお前を我々の監督や裁判官にしたのか。お前はあのエジプト人を殺したように、
このわたしを殺すつもりか」と言い返したので、モーセは恐れ、さてはあのことが知れた
のかと思った。
15 ファラオはこの事を聞き、モーセを殺そうと尋ね求めたが、モーセはファラオの手を
逃れてミディアン地方にたどりつき、とある井戸の傍らに腰を下ろした。
16 さて、ミディアンの祭司に七人の娘がいた。彼女たちがそこに来て水をくみ、水ぶね
を満たし、父の羊の群れに飲ませようとしたところへ、
17 羊飼いの男たちが来て、娘を追い払った。モーセは立ち上がって娘たちを救い、羊の
群れに水を飲ませてやった。
18 娘たちが父レウエルのところに帰ると、父は、「どうして今日はこんなに早く帰れたの
か」と尋ねた。
19 彼女たちは言った。「一人のエジプト人が羊飼いの男たちからわたしたちを助け出し、
わたしたちのために水をくんで、羊に飲ませてくださいました。」
20 父は娘たちに言った。「どこにおられるのだ、その方は。どうして、お前たちはその方
をほうっておくのだ。呼びに行って、食事を差し上げなさい。」
21 モーセがこの人のもとにとどまる決意をしたので、彼は自分の娘ツィボラをモーセと
結婚させた。
22 彼女は男の子を産み、モーセは彼をゲルショムと名付けた。彼が、「私は異国にいる寄
留者(ゲール)だ」と言ったからである。
23 それから長い年月がたち、エジプト王は死んだ。その間イスラエルの人々は労働のゆ
えにうめき、叫んだ。労働のゆえに助けを求める彼らの叫び声は神に届いた。
24 神はその嘆きを聞き、アブラハム、イサク、ヤコブとの契約を思い起こされた。
25 神はイスラエルの人々を顧み、御心に留められた。
モーセの召命
3:1 モーセは、しゅうとでありミディアンの祭司であるエトロの羊の群れを飼っていた
が、あるとき、その群れを荒野の奥へ追って行き、神の山ホレブに来た。
2 そのとき、柴の間に燃え上がっている炎の中に主の御使いが現れた。彼が見ると、見よ、
柴は燃えているのに、柴は燃え尽きない。
3 モーセは言った、「道をそれて、この不思議な光景を見届けよう。どうしてあの柴は燃
え尽きないのだろう。」
4 主は、モーセが道をそれて見に来るのを御覧になった。神は柴の間から声をかけられ、
「モーセよ、モーセよ」と言われた。彼が、「はい」と答えると、
5 神が言われた。「ここに近づいてはならない。足から履物を脱ぎなさい。あなたがたっ
ている場所は聖なる土地だから。」
6 神は続けて言われた。「わたしはあなたの父である神である。アブラハムの神、イサク
の神、ヤコブの神である。」モーセは、神を見ることを恐れて顔を覆った。
7 主は言われた。「わたしは、エジプトにいる私の民の苦しみをつぶさに見、追い使う者
のゆえに叫ぶ彼らの叫びを聞き、その痛みを知った。
8 それゆえ、私は降って行き、エジプト人の手から彼らを救い出し、この国から、広々と
したすばらしい土地、乳と蜜の流れる土地、カナン人、ヘト人、アモリ人、べリジ人、ヒ
ビ人、エブス人の住む所へ彼らを導き上る。
9 見よ、イスラエルの人々の叫び声が、今、わたしのもとに届いた。また、エジプト人が
彼らを圧迫する様子を見た。
10 今、行きなさい。わたしはあなたをファラオのもとに遣わす。わが民イスラエルの人々
をエジプトから連れ出すのだ。
11 モーセは神に言った。「私は何者でしょう。どうして、ファラオのもとに行き、しかも
イスラエルの人々をエジプトから導き出さねばならないのですか。」
12 神は言われた。「わたしは必ずあなたと共にいる。このことこそ、わたしがあなたを遣
わすしるしである。あなたが民をエジプトから導き出したとき、あなたたいはこの山で神
に仕える。」
13 モーセは神に尋ねた。「わたしは、今、イスラエルの人々のところに参ります。彼らに、
『あなたたちの先祖の神が、わたしにここへ遣わされたのです。』と言えば、彼らは、『そ
の名は一体何か』と問うにちがいありません。彼らに何と答えるべきでしょうか。」
14 神はモーセに、『わたしはある。わたしはあるという者だ』と言われ、また、『イスラ
エルの人々にこう言うがよい。『わたしはある』という方がわたしをあなたたちに遣わさ
れたのだと。』
15 神は、さらに続けてモーセに命じられた。「イスラエルの人々にこう言うがよい。あな
たたちの先祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である主がわたしをあなた
たちのもとに遣わされた。これこそ、とこしえにわたしの名、これこそ、世々にわたしの
呼び名。
16 さあ、行って、イスラエルの長老たちを集め、言うがよい。『あなたたちの先祖の神、
アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である主がわたしに現れて、こう言われた。わ
たしはあなたたちを顧み、あなたたちがエジプトで受けてきた仕打ちをつぶさに見た。
17 あなたたちを苦しみのエジプトから、カナン人、ヘト人、アモリ人、べリジ人、ヒビ
人、エブス人の住む乳と蜜の流れる土地へ導き上がろうと決心した』と。
18 彼らはあなたの言葉に従うであろう。あなたはイスラエルの長老たちを伴い、エジプ
ト王のもとに行って彼に言いなさい。『ヘブライ人の神、主がわたしたちに出現されまし
た。どうか、今、三日の道のりを荒野に行かせて、わたしたちの神、主に犠牲をささげさ
せてください。』
19 しかしわたしは、強い手を用いなければ、エジプト王は行かせないことを知っている。
20 わたしは自ら手を下しあらゆる驚くべき業をエジプトの中で行い、これを打つ。その
後初めて、王はあなたたちを去らせるであろう。
21 そのとき、わたしは、この民にエジプト人の好意を得させるようにしよう。出国に際
して、あなたたちは何も持たずに出ることはない。
22 女は皆、隣近所や同居の女たちに金銀の装身具や外套を求め、それを自分の息子、娘
の身に着けさせ、エジプト人からの分捕り物としなさい。」
使命に伴うしるし
4:1 モーセは逆らって、「それでも彼らは、『主がお前などに現れるはずがない』と言っ
て、信用せず、わたしの言うことを聞かないでしょう」と言うと、
2 主は彼に、「あなたが手に持っているものは何か」と言われた。彼が、「杖です」と答え
ると、
3 主は、「それを地面に投げよ」と言われた。彼が杖を地面に投げると、それが蛇になっ
たのでモーセは飛びのいた。
4 主はモーセに、「手を伸ばして、尾をつかめ」と言われた。モーセが手を伸ばしてつか
むと、それは手の中で杖に戻った。
5 「こうすれば、彼らの先祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神、主が、あ
なたに現れたことを信じる。」
6 主は更に、「あなたの手をふところに入れなさい」と言われた。モーセは手をふところ
に入れ、それから出してみると、驚いたことには、手は重い皮膚病にかかり、雪のように
白くなっていた。
7 主が、「手をふところに戻すがよい」と言われたので、ふところに戻し、それから、出
してみると、元の肌になっていた。
8 「たとえ、彼らがあなたを信頼せず、最初のしるしが告げられることを聞かないとして
も、後のしるしが告げることは信じる。
9 しかし、この二つのしるしのどちらも信ぜず、またあなたの言うことを聞かないならば、
ナイル川の水を汲んできて渇いた地面にまくがよい。川からくんできた水は地面で血に
変わるであろう。
10 それでもなお、モーセは言った。「ああ、主よ、わたしはもともと弁が立つ方ではあり
ません。あなたが僕にお言葉をかけてくださった今でもやはりそうです。全くわたしは口
が重く、舌の重い者なのです。」
11 主は彼に言われた。「一体、誰が人間に口を与えたのか。一体、誰が口を利けないよう
にし、耳を聞けないようにし、目を見えるようにし、また見えなくするのか。主なるわた
しではないか。
12 さあ、行くがよい。このわたしがあなたの口と共にあって、あなたが語るべきことを
教えよう。」
13 モーセは、なおも言った、「ああ主よ、どうぞ、だれかほかの人を見つけてお遣わして
ください。」
14 主はついに、モーセに向かって怒りを発して言われた。「あなたにはレビ人アロンとい
う兄弟がいるではないか。わたしは彼が雄弁なことを知っている。その彼が今、あなたに
会おうとして、こちらに向かっている。あなたに会ったら、心から喜ぶであろう。
15 彼によく話し、語るべき言葉を彼の口に託すがよい。わたしはあなたの口と共にあり、
また彼の口と共にあって、あなたたちのなすべきことを教えよう。
16 彼はあなたに代わって民に語る。彼はあなたの口となり、あなたは彼に対して神の代
わりとなる。
17 あなたはこの杖を手に取って、しるしを行うがよい。」
モーセ、エジプトに戻る
18 モーセがしゅうとのエトロのもとに帰って、「エジプトの親族のもとへ帰らせてくだ
さい。まだ元気でいるかどうか見届けたいのです」と言うと、エトロは言った、「無事で
行きなさい。」
19 主はミディアンでモーセに言われた。「さあ、エジプトに帰るがよい。あなたの命を狙
っていた者は皆、死んでしまった・」
20 モーセは、妻子をロバに乗せ、手には神の杖を携えて、エジプトの国を目指して帰っ
て行った。
21 主はモーセに言われた。「エジプトに帰ったら、わたしがあなたの手に授けたすべての
奇跡を、心してファラオの前で行うがよい。しかし、わたしが彼の心をかたくなにするの
で、王は民を去らせないであろう。」
22 あなたはファラオに言うがよい。主はこう言われた、『イスラエルはわたしの子、わた
しの長子である。
23 わたしの子を去らせてわたしに仕えさせよと命じたのに、おまえはそれを断った。そ
れゆえ、わたしはお前の子、お前の長子を殺すであろう』と。」
24 途中、ある所に泊まったとき、主はモーセと出会い、彼を殺そうとされた。
25 ツィボラは、とっさに石刀を手にして息子の包皮を切り取り、それをモーセの両足に
付け、「わたしにとってあなたは血の花婿です」と叫んだので、
26 主は彼を放された。彼女は、そのとき、割礼のゆえに「血の花婿」と言ったのである。
27 主はアロンに向かって、「さあ、荒れ野へ行って、モーセに会いなさい」と命じられた
ので、彼は出かけて行き、神の山でモーセに会い、口づけした。
28 モーセは自分が遣わされた主の言葉と、命じられたしるしをすべてアロンに告げた。
29 モーセはアロンを伴って出かけ、イスラエルの人々の長老を全員集めた。
30 アロンは主がモーセに語られた言葉をことごとく語り、民の面前でしるしを行ったの
で、
31 民は信じた。また、主が親しくイスラエルの人々を顧み、彼らの苦しみを御覧になっ
たということを聞き、ひれ伏して礼拝した。
ファラオとの交渉
5:1 その後、モーセとアロンはファラオのもとに出かけて行き、言った。「イスラエル
の神、主がこう言われました・『わたしの民を去らせて、荒れ野でわたしのために祭りを
行わせなさい』と。」
2 ファラオは、「主とは一体何者なのか。どうして、その言うことをわたしが聞いて、イ
スラエルを去らせねばならないのか。わたしは主など知らないし、イスラエルを去らせな
い」と答えた。
3 二人は言った。「ヘブライ人の神がわたしたちに出現されました。どうか、三日の道の
りを荒野に行かせて、わたしたちの神、主に犠牲をささげさせてください。そうしないと、
神はきっと疫病か剣でわたしたちを滅ばされるでしょう。」